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隣地から越境した枝は勝手に切除できるのか?

2024年8月23日

隣地から枝が越境していた場合、その土地の所有者は一定の要件を満たせば自ら枝を切り取ることができる改正民法が、2023年4月に施行されています。所有者不明土地に付随する問題を解決する対策のひとつになります。

隣地から伸びる枝に困っている人には対処の選択肢が増えることになります。
 

 

目次

① 民法でいう「枝の越境」とは
② 共有の枝は一人でも切除可能
③ 越境された側で枝は切除可能

 

2023年4月、民法改正によって、越境された土地の所有者は「竹木の所有者に枝を切除させることができる」という原則を維持しつつ、新たな緩和対応が可能となりました。
 

 

 

① 民法でいう「枝の越境」とは

「枝から落ちる落ち葉で掃除する手間が大変」「枝が壁に当たって壁が傷付いた」場合に、従前に民法では枝を自ら切除できず「竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」とされているのみでした。隣地が所在不明土地であれば、樹木の管理がされず荒れ放題になってしまう問題がありました。

 


 

② 民法改正:共有の枝は1人でも切除可能

民法改正前は、隣地の共有者全員から債務名義(判決)を得る必要がありましたが、今回の改正により、隣地の共有者の一人に対して枝の切除の承諾を得られれば、枝の切除が可能になりました。

つまり、他の共有者の同意を得なくても、単独でその枝を切り取ることができるようになりました。

 

 

 

③ 民法改正:越境された側で枝の切除が可能

次の要件のいずれかを満たせば、越境された土地の所有者は、越境した枝を自ら切除することができるようになりました。


・竹木の所有者に枝を切除するよう催促したのに、竹木の所有者が相当の期間内に切除しない。

※相当の期間とは一般的に2週間程度とされています。


・竹木の所有者が分からない、またはその所在が分からないといった場合に、現地調査や不動産の登記簿調査をしても所有者と連絡がとれない。


・急迫の事情がある場合で、差し迫った事情があれば催告なしで、隣地の所有者の枝の切除が認められます。例えば、枝が折れて自宅に落下する危険がある場合をいいます。

 

 

 

~まとめ~

今回の民法改正により、「枝の越境問題」について、従来とは違う「緩和された対応策」が可能となりましたが、「勝手に何でも切ってよくなった」というわけではありません。

先ずは、隣地所有者に枝を切ってもらえるよう、口頭や書面で頼むことが原則になります。隣地が所在不明で土地あれば、お声掛けが出来ません。一方、相続したものの放置したままの共有地などであれば、隣地に枝が伸びて対応を求められる可能性もあります。

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