共働き夫婦が住宅ローンを利用する場合の注意点
住宅ローンを契約する際、どのような契約方法にするかを迷っているという方もいるのではないでしょうか。
今回は、共働き世帯向けに3パターンの住宅ローン利用法とそれぞれのメリット、注意点をご紹介します。
不動産価格の上昇により、東京都23区の新築マンションは2023年、平均価格が1億円を超えています。
俗にいう「億ション」と言われる高額マンションが多くなり、共働きのパワーカップルが2人で住宅ローンを借りないと購入できない価格になっています。
※ただし、マンション価格の中央値は「8,000万円台」になります。
目次
①1人で住宅ローン
②ペアローン型住宅ローン
③収入合算型住宅ローン
夫婦共働き世帯が住宅ローンを組む場合、その組み方にもそれぞれに特徴があります。
そのメリットやデメリットの他、将来的なリスク等を勘案した上で慎重に検討しましょう。
①1人で住宅ローン
住宅ローンを一人で契約するメリットは、契約者の配偶者に収入がある場合に、その分は別のことにお金を使える点です。子どもの教育費や車の購入費、行楽など、住宅以外に必要なお金を貯めたい場合には、とても良い方法といえるでしょう。また、住宅ローン契約者の配偶者が万が一産休や育休、病気で収入がない時期があっても、返済に差し支えることはありません。
万が一、金利が上昇した場合であっても、配偶者に収入があれば住宅ローンの返済に窮することも無いでしょう。
ただし、住宅ローンの収入審査では、申込者のみの年収だけがチェックされるため、希望金額を借り入れできない可能性もあります。特に自己資金が少なく、高額物件を購入したい人は注意しておきましょう。
・住宅ローン契約:1本
・連帯保証人:保証会社のみ
・団体信用生命保険:1本
・住宅ローン控除:1人
②ペア型住宅ローン
「2人で住宅ローンを返済し、双方ともに住宅ローン控除を受けたい」と考えている場合は、「ペア型住宅ローン」をオススメいたします。
ペア型住宅ローンでは、住宅ローン控除を2人とも受けることが可能です。また、万が一のときに残債が保険金で支払われる団体信用生命保険には2人でそれぞれ加入できます。
収入合算のときと同様、2人分の収入を合算して収入審査が行われるため、一人で借入時よりも多くの金額を借り入れられる可能性が高くなります。
2人の自己資金が少なく、高額物件を購入したい夫婦にはピッタリの住宅ローンでしょう。ただ、ペアローンは、住宅ローン契約が2契約となり、契約時の手数料や諸経費も2契約分必要になります。
また、片方の配偶者が会社を退職した場合、一馬力で住宅ローンを返済していくことになります。将来的な見通しを勘案した上で、検討しましょう。
・住宅ローン契約:2本
・連帯保証人:夫と妻、保証会社あり
・団体信用生命保険:それぞれ
・住宅ローン控除:それぞれ
③収入合算型住宅ローン
借入金を多くしたいと考えるのならば、夫婦2人の収入を合算、片方を主債務者、もう片方を連帯保証人として審査される「収入合算」の利用を検討してみましょう。
収入合算型の場合、住宅ローン契約は1契約です。2人でお金を出し合って返済するとしても、住宅ローン契約時にかかる手数料は1契約分で済むこともメリットといえるでしょう。
反対に、団体信用生命保険は主債務者のみになる点は注意が必要です。連帯保証人に万が一のことがあっても残債はそのまま残ります。また、住宅ローン控除の控除対象者は主債務者のみのため、返済計画もしっかりと立てておきましょう。
もし、片方が産休や育休、病気で収入が減少したりなくなったりした場合も、毎月の返済金額は変わりません。
・住宅ローン契約:1本
・連帯保証人:配偶者、保証会社あり
・団体信用生命保険:1本
・住宅ローン控除:1人
~まとめ~
共働き夫婦は住宅ローンを利用する際、夫婦2人で住宅ローン控除を利用した方が税額控除の面で恩恵が大きいといえます。
住宅ローン控除は、正しくは「住宅借入金等特別控除」といい、住宅ローンを利用して住宅を新築・取得・増改築する場合に、毎年の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除することができる制度です。
なお、所得税から控除しきれない場合には、翌年の住民税から控除されます。
2024年度の税制改正では、子育て世帯や若年夫婦世帯に対する控除が拡充されました。
対象となるのは、「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦いずれかが40歳未満の世帯」で、それぞれ他の世帯よりも借入限度額が高く設定されています。