増え続ける空き家:その原因と問題点
2024年4月、総務省は「令和5年住宅・土地統計調査」を公表しました。
2023年の全国の空き家数は899万5,200戸、総戸数から見た空き家率は13.8%でした。
2018年より50万6,600戸増え、空き家率も0.2%上昇し、空き家戸数や空き家率ともに過去最多となっています。
1993年からの30年で空き家数はおよそ2倍になりました。
目次
①高齢者の転居(子供と同居、介護施設等に入所)
②新築住宅を優先する優遇政策
③固定資産税の優遇措置
空き家問題の主な原因は、少子高齢化や地方の人口減少だと言われていますが、さまざまな要因が絡み合い、問題が深刻になっています。
①高齢者の転居(子供と同居、介護施設等に入所)
少子高齢化により核家族化が進展したことが空き家問題につながっています。住居として所有していた高齢者が加齢のため、老人ホームや介護施設に入ったり、子供の家で同居を始めることが増えているためです。
地方に住む独居老人が自立が困難になった場合、都市部の子供の住まいに同居したり、都市部の老人ホームに移ったりするケースが多いのです。
家財や仏壇を置いたまま転居する場合も多く、一度転居してしまうと戻る機会も少なくなり、空き家が適切に管理されない問題につながります。
②新築住宅を優先する優遇政策
政府の景気浮揚策として新築住宅の購入を後押しするような優遇税制が取られてきました。そのため、中古住宅の需要低下、不人気につながっています。現在でも新築住宅なら住宅ローン控除を受けたり、住まい給付金をもらえるなど、新築住宅を購入する方が優遇される傾向にあるのです。
また、広い敷地の空き家を取り壊して、2~3棟の建売住宅が建築されたりしています。
③固定資産税の優遇措置
不動産を所有すると固定資産税の納税が義務付けられます。
持ち家の場合は相応の出費になります。しかし、土地に居住用の建物が建っていると固定資産税が最大で6分の1に減額される優遇措置があるため、空き家であっても取り壊さずにそのままにしておいた方が不動産の所有コストは低下します。
土地利用を促すための政策ですが、一般住宅用地の場合、小規模住宅用地で200㎡以下の部分は6分の1に減額、200㎡を超える部分は3分の1に減額されます。
~まとめ~
住まなくなった実家であっても、家財や仏壇が置いてあったり、盆暮れや正月に兄弟で集まる事も多いため、なかなか売却という決断に至らないケースも多いものです。
また、兄弟複数で共有名義になっていると不動産を売却するのに相続人全員の同意が必要になるため、相続人全員の気持ちが揃わない場合があり、結果的に空き家として放置されてしまうことも多いと思われます。