不動産の4つの価格をプロが徹底解説|一物四価とは?相続・売却で損しないために
「親から実家を相続することになったけど、この土地の本当の価値はいくらなんだろう?」
「家を売却したいけれど、ネットで見かける価格と税金の通知書に書かれた価格が全然違う…一体どれを信じればいいの?」
不動産の価格について調べ始めると、様々な種類の価格があることに気づき、混乱する方もいるでしょう。
実は、1つの不動産には複数の価格が存在し、これを「一物四価(いちぶつよんか)」と呼びます。
この記事では、不動産の専門知識がない方でも「一物四価」の仕組みがスッキリと理解できるよう分かりやすく解説します。
この記事を最後まで読めば、4つの価格それぞれの意味や関係性が理解でき、ご自身の状況に合わせてどの価格を見れば良いのかが明確になります。
相続や売却で損をしないための第一歩として、ぜひ最後までお付き合いください。
・そもそも「一物四価」とは?1つの土地に4つの価格が存在する理由
・【図解】一物四価を構成する4つの公的価格を徹底解説
・「実際に売れる価格」は別!実勢価格を含めた「一物五価」の全体像
・【目的別】あなたのケースではどの価格を見るべき?調べ方も解説
・まとめ:一物四価の知識は第一歩。正確な価値は地域密着のプロに相談を
そもそも「一物四価」とは?1つの土地に4つの価格が存在する理由
スーパーに並ぶ野菜や日用品は、基本的に1つの商品に1つの価格、つまり「一物一価」が原則です。
しかし、不動産の世界では、1つの土地に対して4つもの異なる価格が存在します。
なぜ、このような複雑な仕組みになっているのでしょうか。
その答えは、「価格を評価する目的がそれぞれ違うから」です。
例えば、身長を測る「センチメートル」と、体重を測る「キログラム」では、同じ「測る」という行為でも使う単位(物差し)が異なります。
不動産の価格も同じく、以下のように目的ごとに異なる物差しが使われています。
・公平な税金(相続税や固定資産税)を計算するため。
・一般の人が土地を取引する際の目安にするため。
・公共事業で土地を買い上げる際の基準にするため。
このように、異なる目的のために、それぞれ異なる基準で価格が算出されるため、「一物四価」という状況が生まれるのです。
一物四価を構成する4つの公的価格を徹底解説
ここからは「一物四価」を構成する4つの公的な価格について、一つずつ詳しく見ていきましょう。
それぞれの価格を理解する上で大切なのは、「誰が」「何のために」「いつ」決めているのか、という3つのポイントです。
なお、実際に不動産が市場で売買される「実勢価格」については、この後の章で詳しく解説します。
1. 公示価格(公示地価):一般の土地取引の指標となる価格
公示価格は、いわば日本の土地の「標準価格」となるものです。
国土交通省が、不動産鑑定士の評価に基づき、毎年1月1日時点の正常な価格を判定して公表します。
一般の土地取引の価格を決める際の客観的な目安となるほか、公共事業の用地買収価格を算定する基準としても使われます。
決定主体: 国(国土交通省)
評価者: 2名以上の不動産鑑定士
目的: 一般の土地取引の指標、公共事業用地の取得価格の算定基準など
基準日: 毎年 1月1日
公表時期: 毎年 3月下旬頃
2. 基準地価:公示地価を補完する都道府県の評価額
基準地価は、公示地価とよく似ていますが、調査の主体が都道府県である点が異なります。
公示地価がカバーしきれない地点(都市計画区域外など)も含むため、より広い範囲の地価動向を知ることができます。
公示地価の基準日が1月1日であるのに対し、基準地価は7月1日です。
この2つを比較することで、半年間の地価の変動を把握することができます。
決定主体
公示地価: 国(国土交通省)
基準地価: 都道府県
基準日
公示地価: 毎年 1月1日
基準地価: 毎年 7月1日
役割
公示地価: 全国の標準的な土地価格の指標
基準地価: 公示地価の補完、より地域的な価格の指標
3. 相続税評価額(路線価):相続税・贈与税の計算に使う価格
ご家族からの相続や贈与を考える際に、最も重要になるのがこの相続税評価額です。
国税庁が、相続税や贈与税を公平に計算するために定めています。
主に、主要な道路に面した土地1平方メートルあたりの価格を示した「路線価」を基に計算されます。
価格水準の目安としては、一般的に相続税評価額(路線価)は公示価格の約80%程度とされています。
決定主体: 国税庁
目的: 相続税・贈与税の計算
基準: 路線価(または固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる倍率方式)
基準日: 毎年 1月1日
公表時期: 毎年 7月上旬頃
4. 固定資産税評価額:固定資産税などの税金の基準となる価格
不動産をお持ちの方であれば、毎年必ず関わるのが固定資産税です。
その固定資産税や都市計画税などを計算する基になるのが、固定資産税評価額です。
各市町村が、国の定めた基準に基づいて3年に1度評価を見直します(評価替え)。
価格水準の目安は、一般的に固定資産税評価額は公示価格の約70%程度とされています。
不動産の評価額は、毎年送られてくる納税通知書で簡単に確認できます。
決定主体: 各市町村
目的: 固定資産税、都市計画税、不動産取得税などの計算
評価替え: 3年に1度
確認方法: 毎年の納税通知書(課税明細書)
「実際に売れる価格」は別!実勢価格を含めた「一物五価」の全体像
ここまで4つの公的な価格を見てきましたが、ここで非常に重要な注意点があります。
それは、これらの価格は、実際にあなたの不動産が「売れる価格」そのものではない、ということです。
実際に市場で買主と売主が合意して取引される価格のことを「実勢価格(時価)」と呼びます。
実勢価格は、景気の動向や周辺環境、物件の人気度といった需要と供給のバランスによって常に変動します。
この実勢価格と、先ほどの4つの公的価格を合わせて「一物五価」と呼ぶこともあります。
不動産価格の全体像を把握するためには、この5つの価格の関係性を理解することが不可欠です。
5つの価格の違いと関係性が一目でわかる!
複雑に見える5つの価格ですが、下の表を見ればそれぞれの役割と関係性が一目でわかります。
特に「価格水準目安」に注目すると、それぞれの価格の力関係がイメージしやすくなるでしょう。
実勢価格(時価)
目的: 実際の売買
決定主体: 売主・買主
価格水準目安: 100%
評価時期: 随時
調べ方: 不動産会社査定など
公示価格
目的: 土地取引の指標
決定主体: 国
価格水準目安:実勢価格の80~90%(※地域や状況により変動)
評価時期: 毎年 1月1日時点
調べ方: 不動産情報ライブラリ
基準地価
目的: 公示価格の補完
決定主体: 都道府県
価格水準目安: 公示価格とほぼ同水準
評価時期: 毎年 7月1日時点
調べ方: 各都道府県のWebサイト
相続税評価額(路線価)
目的: 相続税・贈与税の計算
決定主体: 国税庁
価格水準目安: 実勢価格の約80%
評価時期: 毎年 1月1日時点
調べ方: 路線価図
固定資産税評価額
目的: 固定資産税などの計算
決定主体: 市町村
価格水準目安:実勢価格の60~70%
評価時期: 3年に1度
調べ方: 納税通知書
※価格水準はあくまで一般的な目安であり、物件や地域によって異なります。
注意!価格水準の目安が逆転する例外的なケースとは?
基本的には「実勢価格 > 公示価格 > 相続税評価額 > 固定資産税評価額」という力関係ですが、これが逆転する例外的なケースも存在します。
知識として知っておくと、より深く不動産価格を理解できます。
地価が急騰している人気エリア
再開発などで人気が急上昇したエリアでは、実勢価格が急激に上がり、年に1度の公的価格の見直しが追いつかないことがあります。
再建築不可など特殊な事情がある物件
法律上の制限で家を建て替えられない「再建築不可物件」などは、利用価値が低いため、公的な評価額よりも実勢価格が大幅に安くなることがあります。
地方の過疎地域
人口減少が進み、不動産の買い手が見つかりにくい地域では、固定資産税評価額がついているにもかかわらず、実際の取引価格(実勢価格)はゼロに近い、というケースもあります。
あなたのケースではどの価格を見るべき?調べ方も解説
これまでの知識を、あなたの具体的な目的に合わせてどう活かせば良いのかを見ていきましょう。
ここでは3つの代表的なケースについて、見るべき価格とその調べ方を解説します。
不動産を「売りたい・買いたい」とき → 実勢価格
不動産の売買を考えるなら、見るべきは「実勢価格」一択です。
公的価格はあくまで参考程度と考え、実際の市場でいくらで取引されているかを調べることが重要です。
国土交通省「不動産取引価格情報検索」: 実際に成約した過去の取引事例を調べられます。ただし、個別の事情(リフォームの有無など)はわかりません。
不動産情報サイト(SUUMOなど): 現在売りに出されている物件の「売出価格」がわかります。ただし、これは成約価格ではありません。
不動産会社の査定: 最も正確性の高い方法です。プロが物件の状態や周辺の最新動向を踏まえて、現実的な売却可能価格を算出します。より正確な実勢価格を知るためには、1社だけでなく複数の不動産会社に査定を依頼し、その価格の根拠を比較検討することが大切です。
「相続税・贈与税」を計算したいとき → 相続税評価額(路線価)
相続税や贈与税の申告では、国が定めたルールである「相続税評価額」を使います。
自分で概算を知りたい場合は、国税庁のウェブサイトで調べることができます。
【調べ方】
国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」というサイトから、住所を基に路線価図を探して確認します。
ただし、土地の形が不整形であったり、角地であったりすると計算が複雑になります。
正確な税額を知りたい場合は、必ず税理士などの専門家に相談しましょう。
「固定資産税」などを知りたいとき → 固定資産税評価額
固定資産税、都市計画税、不動産取得税(不動産購入時にかかる税金)などは、「固定資産税評価額」を基に計算されます。
【一番簡単な調べ方】
毎年春頃に市町村から送られてくる「固定資産税・都市計画税 納税通知書」を確認しましょう。同封されている「課税明細書」の中に、土地と建物のそれぞれの評価額が記載されています。
もし書類を紛失してしまった場合は、不動産が所在する市町村役場の窓口で「固定資産課税台帳」を閲覧したり、証明書を取得したりすることも可能です。
一物四価の知識は第一歩。正確な価値は地域密着のプロに相談を
この記事では、1つの不動産に複数の価格が存在する「一物四価」について説明しました。その理由は目的の違いにあること、そして実際の売買では「実勢価格」が重要になることをご理解いただけたかと思います。
しかし、これらの知識は、ご自身の不動産の本当の価値を知るためのスタートラインに過ぎません。不動産の本当の価値は、日当たりや周辺環境、法律上の規制、建物の状態など、多くの個別要因によって大きく左右されます。
特に不動産の売却を検討している場合、最も頼りになるのは、その土地の事情に精通したプロの目です。
私たちイエステーションは、全国に広がるネットワークと、各地域に根差した豊富な実績を持つ不動産売買の専門家集団です。あなたの不動産の価値をあらゆる角度から正確に査定し、後悔のない売却をサポートします。
この記事が、あなたの不動産に関する悩みや不安を解消するお役にたてますと幸いです。
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