不動産売却に伴う確定測量について
土地を売却する際に、隣地との境界がはっきりせず、隣地の持ち主と揉めてしまうトラブルに気を付けなければなりません。
予め、確定測量を行うことで、そういったいざこざを避けることができます。
目次
①隣地の所有者も立ち会う測量
②確定測量にかかる費用の目安
③確定測量に必要な期間
確定測量とは、土地家屋調査士や測量士などの専門家によって、土地の境界を明らかにする測量のことです。測量で明らかになった境界には境界杭が埋められ、目で見て境界がわかるようになります。
測量には境界確定測量と現況測量、地積測量の3種類があります。
それぞれ目的や測量方法が異なるので、区別して理解し、適切な方法を選びましょう。
①隣地の所有者も立ち会う測量
境界確定測量では、一般的に土地の所有者と測量士に加えて隣接地権者に立会いを求め、行政が発行する図面をもとに土地の境界を確定させます。
行政との境界を確定することを官民境界確定と言います。
官民境界確定がなくても境界確定測量を行うことは出来ますが、官民境界確定がないと現況測量図の扱いとなり、正式な測量図とは言えません。
また、建物の一部(屋根や樋、ブロック塀、樹木など)が越境している場合は、将来的に越境を解消する覚書等をお互いに署名捺印する場合もあります。
②確定測量にかかる費用の目安
測量は土地の広さや隣接地の種類や形状、立会人の人数等でかなり違ってきます。
一般的な宅地であれば、官民境界確定ありだと60万円~80万円、官民境界確定なしで35~45万円程度が費用の目安だと言われています。
測量会社によっても費用は異なります。予め見積書を取得した上で、測量の依頼をしましょう。
③確定測量に必要な時間
確定測量は基本的に2~3ヶ月の期間を要します。
官民境界で役所の立会いを求める場合、混んでいると1~2カ月後でないと立会い出来ないこともありますので、早めに申請しておくとスムーズに進みます。
また、隣接地が空き家の場合、居所や移転先を調査するのにかなりの時間を要する場合があります。居所がわかっても郵送物が届かなかったり、音信不通である場合もあります。その場合は、筆界特定制度等を利用するケースも出てくるでしょう。その場合は、6ヶ月~1年程度要する場合もありますし、費用負担もかなり増えますので、注意が必要です。
~まとめ~
現況測量は隣人の立会いなどをせずにおこなう測量で、土地境界を詳しく調査せず、土地家屋調査士や測量士が土地の現況を確認して図面化する簡易的な測量方法です。
確定測量をせずに土地を売却した場合、境界が曖昧だとトラブルが起こることがあります。売主には契約不適合責任が課せられており、境界杭が欠損していたり、境界トラブルを抱えていると違約金や損害賠償請求を受ける可能性もあります。売却する前に土地の境界を明らかにし、確定測量図を買い手に示すことで、このようなトラブルを避けることができます。
増え続ける空き家:その原因と問題点
2024年4月、総務省は「令和5年住宅・土地統計調査」を公表しました。
2023年の全国の空き家数は899万5,200戸、総戸数から見た空き家率は13.8%でした。
2018年より50万6,600戸増え、空き家率も0.2%上昇し、空き家戸数や空き家率ともに過去最多となっています。
1993年からの30年で空き家数はおよそ2倍になりました。
目次
①高齢者の転居(子供と同居、介護施設等に入所)
②新築住宅を優先する優遇政策
③固定資産税の優遇措置
空き家問題の主な原因は、少子高齢化や地方の人口減少だと言われていますが、さまざまな要因が絡み合い、問題が深刻になっています。
①高齢者の転居(子供と同居、介護施設等に入所)
少子高齢化により核家族化が進展したことが空き家問題につながっています。住居として所有していた高齢者が加齢のため、老人ホームや介護施設に入ったり、子供の家で同居を始めることが増えているためです。
地方に住む独居老人が自立が困難になった場合、都市部の子供の住まいに同居したり、都市部の老人ホームに移ったりするケースが多いのです。
家財や仏壇を置いたまま転居する場合も多く、一度転居してしまうと戻る機会も少なくなり、空き家が適切に管理されない問題につながります。
②新築住宅を優先する優遇政策
政府の景気浮揚策として新築住宅の購入を後押しするような優遇税制が取られてきました。そのため、中古住宅の需要低下、不人気につながっています。現在でも新築住宅なら住宅ローン控除を受けたり、住まい給付金をもらえるなど、新築住宅を購入する方が優遇される傾向にあるのです。
また、広い敷地の空き家を取り壊して、2~3棟の建売住宅が建築されたりしています。
③固定資産税の優遇措置
不動産を所有すると固定資産税の納税が義務付けられます。
持ち家の場合は相応の出費になります。しかし、土地に居住用の建物が建っていると固定資産税が最大で6分の1に減額される優遇措置があるため、空き家であっても取り壊さずにそのままにしておいた方が不動産の所有コストは低下します。
土地利用を促すための政策ですが、一般住宅用地の場合、小規模住宅用地で200㎡以下の部分は6分の1に減額、200㎡を超える部分は3分の1に減額されます。
~まとめ~
住まなくなった実家であっても、家財や仏壇が置いてあったり、盆暮れや正月に兄弟で集まる事も多いため、なかなか売却という決断に至らないケースも多いものです。
また、兄弟複数で共有名義になっていると不動産を売却するのに相続人全員の同意が必要になるため、相続人全員の気持ちが揃わない場合があり、結果的に空き家として放置されてしまうことも多いと思われます。