不動産購入申込みの「一番手」とは?
売出し物件は唯一無二の不動産であり、個別性が強く、当然ながら一件しかありません。よって、人気物件や割安物件の場合は、複数の購入申込みが同時に入る場合があります。
売出中の不動産で、同時にもしくは数日遅れで購入申込み(買付証明)が入る事があります。基本的には申込順ですが、購入申込者の希望価格や購入条件、属性等はさまざまになります。
売主または仲介業者は同時に申込みが入った場合、売主にとって条件が良い購入希望者と売買契約書を締結したいという、売主側の意向が反映されていきます。
どんな意向が反映されるのか?解説していきたいと思います。
目次
- ①不動産申込みの「一番手」とは?
- ②不動産購入申込みが複数同時に入ったら?
- ③売主が買主を選ぶ「選択ポイント」は?
①不動産申込みの「一番手」とは?
「一番手」という文字通り、一番最初に購入申込み(買付証明書)をしてくれた購入希望者になります。買付一番手と呼ばれ、売主との優先交渉権が与えられます。例えば、売出価格より100万円安く購入申込みをしている場合で、二番手希望者が満額で申込みをしていた場合、一番手買主が満額で購入する意思表示をした場合は一番手買主と満額で契約をする流れとなります。
②不動産購入申込みが複数同時に入ったら?
ほぼ同時の申込みであれば、売主にとって条件が有利な方を選択すれば良いと思います。
ただし、2番手の買主様には、不動産屋さんから丁寧な連絡をしてもらった方が望ましいです。また、必ずしも一番手と契約締結になるとは限りません。2番手の買主様も、場合によっては一番手の買主様に繰り上がる可能性もあります。
万が一に備えて、誠意ある対応を心掛けましょう。
③売主が買主を選ぶ「選択ポイント」は?
①住宅ローン利用 有無
ポイント:勤務先や年収、勤続年数
②価格交渉 有無
ポイント:購入意欲や価格許容度
③個別の特約条項 有無
ポイント:売主に不利な特約かどうか?
④手付金額 多い・少ない
⑤契約締結日 早い・遅い
ポイント:早めの署名押印
⑥引渡可能日 早い・遅い
ポイント:残金入金は早めが安心
⑦買主の属性 良い・微妙
ポイント:人柄も含めて見極めが必要
~まとめ~
分かれ(不動産業者が2社以上)の商談の場合、買付証明書を頂くときには、不動産業者ごとで、優先順位の考え方が違うため、売主様側の不動産業者の考え方を確認しておくことも大切です。
もう一つ重要な事は、住宅ローン利用が必要な買主様に「現金購入」は無理な話ですが、売主様にとってみれば、残代金受領は、融資利用であっても全額自己資金でも、現金で受領することには代わりはありません。その為にも、住宅ローンを利用する資金計画であれば、早めに事前審査を受けて、融資仮承認(内定)を頂いておくよう、不動産業者を通じて購入希望者にお伝えしておくのが無難です。
夫婦2人で住宅ローンを組んだ場合の注意点
夫婦で購入する物件に対して、夫婦それぞれが住宅ローンを組む事になります。
夫婦それぞれが所得証明書や団体信用生命保険の加入審査があります。ペアローンとも呼ばれており、夫婦が一緒に住む住宅の購入が対象になります。夫婦各々が別の住宅ローン契約であるため、ローンの借入可能額が増えて、住宅ローン控除が夫婦それぞれに適用になる等のメリットがあります。
目次
①夫婦の一方の退職や年収減があった場合、返済負担が重くなる
②離婚や相続等で揉める要因になる
③売却や賃貸に出す場合、夫婦の合意と手続きが必要になる
①夫婦の一方の退職や年収減があった場合、返済負担が重くなる
夫婦のうち一方が勤務先を退職したり、業績悪化により年収が大幅ダウンした場合、当初の返済計画通りに返済が進まなくなる恐れがあります。妻の出産や妊娠のほか、急病や事故による入院、親の介護等により、安定収入が脅かされるケースも無いとはいえません。予めライフプランを作成して、想定されうるリスク等を織り込んで、返済計画を立てる事も重要です。
②離婚や相続等で揉める要因になる
夫婦共有の住宅を所有すると、離婚や相続が発生した場合、手続きが複雑となり、夫婦や親族間で話し合いが必要になります。特に離婚の場合は、慰謝料等も加わり、物件の取扱いや売却等でしっかりした協議が必要になります。持分を配偶者に贈与したり、共有名義のまま売却して、ローン残債を返済した残金を分ける方法が一般的といえます。
③売却や賃貸に出す場合、夫婦の合意と手続きが必要になる
購入した住宅は共有の財産になるため、全ての手続きは夫婦の同意が必要になります。よって、単独の意思では売却や運用ができません。住宅を賃貸物件として貸し出す場合も夫婦で話し合って条件等を決めなければいけません。また、振り込まれる家賃も夫婦で分配した上で不動産所得を申告しなければいけません。
『夫婦2人で住宅ローンを組んだ場合の注意点?』 ~まとめ~
夫婦共有名義で住宅を購入する場合、融資金額が増えてより高い住宅を購入できる一方、さまざまなリスクに対する備えについても考えておく必要があります。
また、夫婦間でも住宅を取得する際は、将来的に発生しうる不測の事態を想定して予め話し合っておく事が大切です。しっかりと相談して、無理のない返済計画を立てた上で夫婦共有名義の住宅取得を検討しましょう。